今回ご紹介する映画は、2017年に公開されたルーマニア映画の「エリザのために」です!
ひっきー
凛子
それでは本作について詳しくご紹介します!
作品情報
あらすじ
医師ロメオには、イギリス留学を控える娘エリザがいる。
彼には愛人がおり、家庭は決してうまくいっているとは言えない。
ある朝、ロメオは車で娘を学校へ送っていくが、校内に入る手前で降ろし、彼女は徒歩で登校することに。
しかし白昼人通りもあるなかで、エリザは暴漢に襲われてしまう。
大事には至らなかったが、娘の動揺は大きく、留学を決める翌日の卒業試験に影響を及ぼしそうだ。
これまで優秀な成績を収めてきたエリザは、何もなければ合格点を取り、ケンブリッジ大学で奨学生になれるはずだった。
ロメオは娘の留学をかなえるべく、警察署長、副市長、試験官とツテとコネを駆使し、ある条件と交換に試験に合格させてくれるよう奔走する。
しかしそれは決して正しいとは言えない行動で、ついに検察官が彼の元へやってくる…。
(出典:http://www.finefilms.co.jp/eliza/)
キャスト・監督
監督:クリスティアン・ムンジウ
ロメオ:アドリアン・ティティエニ
エリザ:マリア・ドラグシ
警察署長:ヴラド・イヴァノフ
(出典:http://www.finefilms.co.jp/eliza/)
ネタバレ感想
医師として働くロメオには18歳の娘エリザがいました。
図書館員として働く妻のマグダとの関係は完全に冷え切っており、シングルマザーで学校教師のサンドラと浮気していました。
ある朝、翌日から始まる卒業試験を控えたエリザを車に乗せたロメオは学校まで送ろうとしますが、エリザの要望によって手前の交差点で車から下ろします。
エリザと別れたロメオは不倫相手のサンドラの家に向かい2人で甘い時間を過ごしていると、ロメオの携帯が鳴り出します。
電話は勤務先の病院からで、エリザが暴漢に襲われて病院に運ばれたとのことです。
急いで病院に向かうと、先に来ていたマグダからどこにいたのか聞かれ、別の病棟にいたと誤魔化します。
エリザはひどく動揺して泣いていましたが、幸い軽症でした。
ロメオの友人である警察署長も駆け付け、犯人の逮捕に全力を尽くすと約束しました。
その上で、借りのある副市長のブライが肝硬変でドナーを探しており、ロメオに手術の順番を早くしてもらえるように頼むのでした。
翌日、試験の初日にロメオは精神的ショックを受けた娘のために学校へ行き、娘の試験時間を延長してもらえないか交渉します。
しかし、学校側に取り合ってもらえませんでした。
そこでロメオはブライと話し、彼の要望に答えることにしました。
ブライは試験委員長の妻が職場復帰する際に口利きした過去があるため、エリザの点数を考慮してくれるようです。
ロメオは早速、委員長の自宅を訪れてエリザのことを話します。
ブライから連絡を受けいていた委員長は、解答用紙がエリザのだと分かるように印を付けるように指示します。
帰宅したロメオは、テストに自身がないならと委員長の指示した印の付け方をエリザに教えますが、エリザは乗り気ではないようです。
その反応を見たロメオは、この国には自由がないため海外の大学に行って欲しいと諭すのでした。
試験2日目の翌日、エリザを学校まで送ったロメオは愛人サンドラの家でくつろいでいました。
呼び鈴が鳴り出ると、浮気相手のことを知るはずのないエリザが立っていました。
祖母が倒れたため急いで知らせに来たのでした。
ロメオはすぐに母親の家に向かい、応急処置を行うと一命は取り留めました。
一段落したところでこれ以上不倫を母に隠さないで、2人で話し合ってほしいとエリザに言われたロメオ。
話し合わないなら翌日の試験を受けないと言われたロメオはマグダに浮気のことを話しますが、マグダはすでに知っていました。
家を出て行ってほしいとマグダに言われたロメオは、そのまま家を出ていきます。
翌日の試験最終日、エリザが試験を受けたのか不安なまま出勤すると、ブライのもとに検察官が来ていました。
どうやらブライには様々な疑惑があって刑事告発されたのです。
ブライの電話は全て傍聴され捜査が進めばエリザにも話を聞くことになると諭す検察官。
ロメオは急いで委員長に会いに行きますが、解答用紙に印はなかったと告げられます。
その夜、容疑者の面通しで警察に行くと、エリザが先に着いていました。
警察はロメオの不正についてエリザを尋問していましたが、エリザは父から不正の指示をされていないと答えていました。
4人の容疑者の面通しが行われましたが、この中に犯人はいませんでした。
翌日、ロメオが病院へ行くとブライが心臓発作で亡くなったことが告げられます。
学校で卒業式が開かれ、ロメオはエリザに試験最終日のことを聞きます。
試験中に涙が止まらなくなったエリザは、時間を延長してもらったのでした。
エリザは最後まで不正はしていませんでした。
卒業生の集団写真の撮影をロメオに頼み、エリザは清々しい笑顔を見せていました。
ココが見どころ
最初にロメオの自宅に石を投げられ、窓ガラスが割られる所から映画が始まります。
この石を投げた犯人が劇中で分かることはありません。
犯人探しのためのシーンではないからです。
このシーンで言いたいのは、日常の中で窓ガラスが割られるほど治安が悪いということ。
ルーマニアの社会について詳しく知りませんでしたが、この映画を通していかに国民が絶望を感じているかひしひしと伝わってきました。
まとめ
ルーマニアの腐敗した社会を経験しているからこその父親の行動は、善や悪で割り切ることのできないものだと思いました。
不正は決して正しい行動ではありませんが、将来に希望や自由のない国だからこそ他に選択肢がなかったのかもしれません。
そう思わせる映画でした!
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