映画ノーカントリー|あらすじとネタバレ感想!ラスト結末と解説・・

コーエン兄弟が監督した映画「ノーカントリー」。

凛子

ハビエル・バルデムの演技がすごかった!
バイオレンスな映画ではあるんだけど、文学的で哲学的でもあった!

ひっきー

それでは「ノーカントリー」について詳しくご紹介します!

作品情報

あらすじ

人里離れたテキサスの荒野でハンティング中に、銃撃戦が行われたと思しき麻薬取引現場に出くわしたベトナム帰還兵モス。

複数の死体が横たわる現場の近くで、200万ドルの大金を発見した彼は、危険と知りつつ持ち帰ってしまう。

その後、魔が差したのか不用意な行動を取ってしまったばかりに、冷血非情な殺人者シガーに追われる身となるが、愛する若い妻カーラ・ジーンを守るため、死力を尽くしてシガーの追跡を躱していく。

一方、老保安官エド・トム・ベルもまた、モスが最悪の事件に巻き込まれたことを知り彼の行方を追い始めるが、モスを保護できないまま、死体ばかりが増えていく事態に直面し、苦悩と悲嘆を深めていく…。

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=328975#1)

キャスト・監督

監督・製作:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン

エド・トム・ベル保安官:トミー・リー・ジョーンズ

アントン・シガー:ハビエル・バルデム

ルウェリン・モス:ジョシュ・ブローリン

カーソン・ウェルズ:ウディ・ハレルソン

カーラ・ジーン:ケリー・マクドナルド

(出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=328975#1)

ネタバレ感想

原題の“No Country for Old Men”はウィリアム・バトラー・イェイツの詩「Sailing to Byzantium」の冒頭を引用された詩です。

意味は、「ここは老いた者たちが住める国ではない」。

この原題のように、人間が理由もなく殺される道理に合わない世の中を描いた作品です。

物語は、3人の登場人物による三つ巴の追跡劇。

1人は、殺人現場に残された現金を持ち逃げした、ベトナム帰還兵ルウェリン・モス。

1人は、ルウェリンを追う殺し屋アントン・シガー。

1人は、事件を捜査しながらルウェリンとシガーを追う、エド・トム・ベル保安官。

この3人の視点を織り交ぜながら、スリリングな展開へ進行していきます。

3人の役割

殺し屋シガーは、『悪』や『暴力』を象徴すると同時に、『不条理な世界』そのものを象徴した存在として描かれています。

それは、シガーのセリフ「コインと同じ道を俺は辿った」に表れています。

コイントスのように、表が出るか裏が出るかは予測不能。

同じように私達の住む世界は、いつ死期がやって来るか分からない不条理なもの。

その不条理な死の化身が、本作のシガーという存在でした。

しかし、この考え方が覆る展開がラストに起きます。

なんと、シガーは交通事故によって負傷を負うのです。

不条理な世界を象徴する存在だったシガーでしたが、そのシガーでさえも、不条理な世界の一部にすぎなかったのかもしれません。

この展開には驚いた!

ひっきー

シガーに追われるルウェリンは、妻とお金のために不条理な世の中に抗おうとする存在として描かれていました。

しかし結局は、ルウェリンも妻カーラもシガーに殺されてしまいます。

2人がシガーに殺されるシーンは直接描かれていませんでしたが、シガーが殺したと決定づけるヒントが映像に隠れています。

この映画は主役級の人でさえ、あっさり死んでしまうような不条理性を描きたかったから、敢えてシガーに殺されるシーンは映さなかったのかもしれません。

たしかにルウェリンの死はすごくあっさりしてたよね。

ひっきー

凛子

そうそう。急にルウェリンの死体が転がってるんだよね。

シガーとルウェリンを追うベル保安官は、不条理な世界に翻弄され打ちひしがれる存在として描かれています。

2人の男を追いながら、新聞や人から知る不条理な殺人の実態を知ったベル保安官は、ある結論を出します。

それは保安官を辞職すること。

ラストに語る2つ夢の話がベルの深層心理を物語っていました。

1つは親父にお金を貰ったが、それを無くしてしまったという夢。

ベル保安官の家系は、代々保安官でした。

親父に貰ったお金は親父から受け継いできた『正義』の暗示で、それを無くしてしまったのは、保安官を辞めて、正義を諦めたことの暗示。

もう1つは親父と雪の山道を歩いていると、親父が彼を追い越して火を焚いて待っているという夢。

ベルの父親はすでに死んでいるので、雪の山道は死ぬまでの険しい人生の道程。

その先に待つ火は、希望の光。

父親のいる火に近づく前に目が覚めたことから、父のように最後まで保安官を全うできなかったことの暗示なのかなと思いました。

2つの夢の解釈は、すごく曖昧でいろんな見方に取れるから面白い。

ひっきー

ココが見どころ

映画史に名を残す新たな悪役が誕生。

「ハンニバル」のレクター博士や、「ダークナイト」のジョーカー。

映画には悪役であるにもかかわらず、カリスマ性に溢れ、絶大な人気を得ている珍しい悪役キャラがいます。

その仲間入りを果たしたのが、ハビエル・バルデム演じる、アントン・シガー

ハビエル・バルデムの顔の濃さと、ビートルズのようなもっさりおかっぱヘアー。

外見だけでも、インパクトは強烈です。

シガーの使用する武器も、一風変わっています。

それはガスボンベの先から空気を発射させる空気銃で、通常は牛を安楽死させるための道具。

これを人に使用するシガーの心理は、『人間は家畜と一緒』。

誰にも容赦ないところが、シガーの怖さでもあり、カッコよさでもある!

ひっきー

敵味方関係なく、何の戸惑いもなく人を殺していくシガーを観ていると、なんとも言えない爽快感があります。

ハビエル・バルデムの演技は、主役を食うほどの名脇役でした。

凛子

まばたきを全くしない努力も、サイボーグのような不気味さがあってすごい迫力だった!

まとめ

カリスマ的な悪役キャラ、シガーを生んだ「ノーカントリー」。

非常に暴力的な作品でありながら、文学的な側面も持っている不思議な作品です。

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