2016年に公開されたギレルモ・デル・トロ監督のゴシックロマンス映画、「クリムゾン・ピーク」。
ひっきー
凛子
今回は、そんな「クリムゾン・ピーク」についてご紹介します!
作品情報
あらすじ
10歳の時に死んだはずの母親を目撃して以来、幽霊を見るようになった女性イーディス。
父親の謎の死をきっかけに恋人トーマスと結婚することになった彼女は、トーマスや彼の姉ルシールと一緒に屋敷で暮らしはじめる。
その屋敷は、冬になると地表の赤粘土が雪を赤く染めることから「クリムゾン・ピーク」と呼ばれる山頂にあった。
ある日、イーディスの前に深紅の亡霊が現われ、「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と警告する。
(出典:https://eiga.com/movie/83321/)
キャスト・監督
監督:ギレルモ・デル・トロ
イーディス・カッシング:ミア・ワシコウスカ
トーマス・シャープ:トム・ヒドルストン
ルシール・シャープ:ジェシカ・チャステイン
アラン・マクマイケル:チャーリー・ハナム
カーター・カッシング:ジム・ビーバー
(出典:https://eiga.com/movie/83321/)
ネタバレ感想
ストーリー自体は典型的なロマンス映画にありがちな愛憎劇。
それでも他のロマンス映画と一線を画すのは映像の美しさです。
愛した男を巡って片方が死ぬまで殺し合うラストのシーンは、映像の美しさに目を奪われました。
雪と、イーディスのドレスの白。
対象的に、地面に広がる赤土と、傷つけ合う2人の血液の赤。
ひっきー
凛子
また、細部にまでこだわった衣装・小道具・美術・セットの作り込みも圧巻!
例えば、イーディスの衣装は、明るい色を使い、シルエットが丸く、柔らかい印象。
対象的に、ルシールの衣装はタイトで、暗い色を使い、冷たい印象を受けました。
ひっきー
『人間も幽霊も様々なものに縛られている』
イーディスの放った言葉が、映画全体のテーマになっているように思えました。
物語の重要なカギを握る、幽霊たち。
本作の幽霊の立ち位置は、悪者ではありません。
イーディスに必死に苦悩を訴えようとする姿は、薄気味悪さを残しながら、どこか悲しげで心打たれました。
凛子
ひっきー
苦悩を抱え、過去に縛られた幽霊たちは、同情すべき存在なのかもしれません。
そんな幽霊たちを生むきっかけを作ったルシールさえ、“何か”に縛られているとしか思えてなりませんでした。
トーマスが『何もかも捨てて、新しい場所で一からやり直そう』とルシールを説得する終盤のシーン。
トーマスはイーディスのことを本気で好きになり、未来に向かって生きようとしていました。
一方のルシールは、その言葉を聞き、激高してトーマスを刺殺します。
ルシールにとって屋敷の中の世界が全てであり、過去に生きている彼女は、この屋敷を捨てて未来に生きようとするトーマスを許せなかったのではないかと思います。
ルシールは、弟への行き過ぎた愛憎・呪われた屋敷・過去に縛られていたのだと解釈しました。
凛子
ココが見どころ
クリムゾン・ピークにそびえ立つ、屋敷“アラデール・ホール”。
『この屋敷の中には何かある』と思わせるような不気味さがあるのに、その中に美しさも同時に存在しているのです。
“不気味”と“美しい”という相反する感情なのに、それがちゃんと成立している不思議さ。
独特な存在感を放っていました。
個人的にお気に入りの箇所は、大きく穴の開いた天井です。
雪が降ると、室内にいるはずなのに、開いた天井から雪が舞うシーン。
ひっきー
凛子
また屋敷を単なる建物ではなく、一種のクリーチャーのように見せる演出や美術も際立っていたと思います。
屋敷から漏れる風は、まるで悲しみの叫び。
壁からにじみ出た赤土は、まるで生命感を感じさせる体液。
勝手に動き出すエレベーターは、自分の意思を持っているかのよう。
ひっきー
凛子
CGが主流になってきている現代に、この屋敷を一から作り上げた監督のこだわりと美術スタッフの努力に、ただただ感服させられます!
まとめ
映画鑑賞というより、美術鑑賞と言ったほうが相応しいくらい、独特で美しい映像が散りばめられた「クリムゾン・ピーク」。
凛子
ひっきー
美術館の館長ギレルモ・デル・トロが魅せてくれる、ゴシック調の映像世界に何度も足を運びたくなります!
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