2017年に公開されたエドガー・ライト監督のカーアクション映画、ベイビードライバー。
ひっきー
凛子
作品情報
あらすじ
ベイビー(アンセル・エルゴート)。
その天才的なドライビング・センスが買われ、組織の運転手として彼に課せられた仕事―それは、銀行、現金輸送車を襲ったメンバーを確実に「逃がす」こと。
子供の頃の交通事故が原因で耳鳴りに悩まされ続けているベイビー。しかし、音楽を聴くことで、耳鳴りがかき消され、そのドライビング・テクニックがさらに覚醒する。
そして誰も止めることができない、追いつくことすらできない、イカれたドライバーへと変貌する―。
組織のボスで作戦担当のドク(ケヴィン・スペイシー)、すぐにブチ切れ銃をブッ放すバッツ(ジェイミー・フォックス)、凶暴すぎる夫婦、バディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)。
彼らとの仕事にスリルを覚え、才能を活かしてきたベイビー。
しかし、このクレイジーな環境から抜け出す決意をする―それは、恋人デボラ(リリー・ジェームズ)の存在を組織に嗅ぎつけられたからだ。
自ら決めた“最後の仕事”=“合衆国郵便局の襲撃”がベイビーと恋人と組織を道連れに暴走を始める―。
(出典:http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/babydriver/)
キャスト・監督
アンセル・エルゴート(ベイビー)
1994年3月14日アメリカ ニューヨーク生まれ。映画デビューはクロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア共演『キャリー』(2013)。
2014年にはシャイリーン・ウッドリー、ケイト・ウィンスレットらと共演した『ダイバージェント』、ジェイソン・ライトマン監督作『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』、そして再びシャイリーン・ウッドリーと共演した『きっと星のせいじゃない。』3作に出演し、ティーンスターの地位を確固たるものにする。
ミュージシャンとしても才能の場を広げ、音楽フェスやイベントでDJを勤め、“DJアンソロ”の名でデビューシングル「To Life」をリリースした。
また、191cmの長身を生かし、プラダのキャンペーンモデルとしても活躍している。
リリー・ジェームズ(デボラ)
1989年4月5日イギリス イングランド生まれ。2012年に『タイタンの逆襲』で、長編映画デビュー。
イギリスのテレビドラマシリーズ『ダウントン・アビー』で人気に。2013年、ディズニー映画『シンデレラ』主役の座を射止め、世界的スターに。
2016年、ジェーン・オースティンの名作を基にしたホラー・コメディ『高慢と偏見とゾンビ』でヒロインを演じる。
また同年舞台「ロミオとジュリエット」では『シンデレラ』の監督ケネス・ブラナーの演出で、 リチャード・マッデンとも再共演を果たした。
ケヴィン・スペイシー(ドク)
1959年7月26日 アメリカ ニュージャージー生まれ。映画デビューは1986年の『心みだれて』。
1991年にはニール・サイモン演出の「ロスト・イン・ヨーカーズ」でトニー賞を受賞。1995年デイヴィッド・フィンチャー監督『セブン』のサイコパス役で注目を集め、同年ブライアン・シンガー監督『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞助演男優賞に輝く。
その後は、『評決のとき』(1996)、『L.A.コンフィデンシャル』(1997)、『交渉人』(1998)などで着実に演技派としての幅を広げ、1999年、『アメリカン・ビューティー』でついにアカデミー主演男優賞を受賞。
プロデューサーとしても活躍しており、『ラスベガスをぶっつぶせ』(2008)、『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、『キャプテン・フィリップス』(2013)などの製作に携わった。
エドガー・ライト(監督)
1974年4月18日、イギリス、ドーセット生まれ。
10代の頃から映画作りに興味を抱き、スーパー8で短編映画を撮り始める。20歳の頃に学生仲間と16ミリで製作した低予算西部劇“A Fistful of Fingers”(1995・未)は小規模ながらイギリスで劇場公開された。
その後、BBC等でTVドラマの製作に携わり、「SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜」は英アカデミー賞にノミネート。
04年には同作で組んだ脚本&主演のサイモン・ペッグとタッグを組み、『ショーン・オブ・ザ・デッド』(未・DVD)で商業映画に進出。ゾンビ映画に笑いと現代性、リアリティを注入した同作は世界中で絶賛された。
この後、ペッグとさらに組んだ『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007)、『ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う!』(2013)も好評を博している。
製作総指揮を手がけた作品には『アタック・ザ・ブロック』(2011)、『サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド』(2012)がある。
(出典:http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/babydriver/)
ネタバレ感想
いろんな曲のミュージックビデオを組み合わせたかのような、映像・演技・セリフが見事に音楽と融合していました。
ストーリー、音楽と映像のセンスも共に申し分なく、どこを切り取っても素晴らしい作品でしたが、特に気になったシーンの感想を述べたいと思います。
まずこの作品には、「ザ・ドライバー」「ゲッタウェイ」「ドライヴ」「俺たちに明日はない」といった映画の影響を受けたであろうシーンが出てきます。
ひっきー
例えば、映画終盤にドクがベイビーとデボラを助けたシーンです。
逃がし屋の仕事から足を洗ったベイビーがデボラを連れて高級レストランで食事をしている時に、ドクが登場してベイビーに逃がし屋の仕事をまた再開するよう迫ります。
もし、仕事をしないとデボラの身に何が起きるか分からないといったことを匂わせ、ここで観客に冷酷無比な男の印象を与えました。
また、終盤でベイビーとデボラが逃避行を決めて、ドクに助けを求めた時も、ドクはあっさり断ります。
にもかかわらず、アジトにテープを取りにやってきたベイビーとデボラの姿を見て、『昔を思い出した』と言い、命を落としてまで2人助けたのです!
ドクの過去については劇中で触れられていなかったので、この展開には少し唐突感を覚えました。
ドクの言う『昔』とは何だったのだろうと考えていた時に、映画「ゲッタウェイ」を思い出しました。
実は「ゲッタウェイ」の主人公の名前もドク。妻と共に銀行強盗に手を染め、追手に追われながらも、逃げ切る話です。
もし、「ゲッタウェイ」のドクと「ベイビードライバー」ドクが同一人物であるなら、ドクは若かりし頃に妻と逃亡を図った過去を思い出して、助ける気になったのかもしれません。
凛子
そして、ベイビーのセリフも気になったポイントの一つです。
ベイビーは他の映画作品のセリフを引用していました。
序盤で育ての父ジョーとベイビーが家でテレビを見ていた時に、映画のワンシーンがいくつか映ります。
その映画は、「ちびっこギャング」「恋するベーカリー」「モンスターズインク」「ファイトクラブ」です。
そこで出てきた映画のセリフを、ドクや他のギャングたちと話す時に使っていました。
他人の言葉を借りてしか話せないベイビーは、まさに赤ちゃんと変わらないのかもしれません。
そんなベイビーでも、デボラやジョーと話す時は、自分の言葉で喋っていて、2人には心を開いているベイビーの心情がうかがえました。
もう一つ面白いと思ったのは、逃避行の行方が気になるラストのシーン。
ゲッタウェイ映画のありがちなラストは主に2つです。
主人公たちが銃殺されるのか(「俺たちに明日はない」のラスト)。
もしくは逃げ切るのか(「ゲッタウェイ」のラスト)。
本作はどっちに転ぶのだろうかとハラハラして観ていました。
なんとベイビーはちゃんと罪を認め、刑務所に服役。
凛子
ひっきー
これまでのゲッタウェイ映画にない、真面目な展開が新鮮でした!
ココが見どころ
本作の魅力は全編を通して音楽と映像が上手く計算されて連動しているところ!
クラクションの音や札束を置く音、ドアを閉める音、ワイパーの動く音、発泡する時の音など、一つ一つの効果音が意図的に音楽に合わされていて、心地よいテンポを生みます。
特に目を引いたシーンは、序盤のコーヒーを買いに行くシーン。
長回しのワンテイクで撮られたこのシーンで流れている曲は、ボブ&アールの「ハーレム・シャッフル」。
歌詞の一部が、壁や電柱にさりげなく出ているお洒落さ。
街の喧騒が音楽とシンクロしているところも、しびれます!
凛子
ひっきー
まとめ
ライト監督の作品の中で、第1位の興行成績を残している「ベイビー・ドライバー」。
そんな人気を博した映画の続編の企画が現在進行中とのことです。
公開は2019年に予定されていて、まだ1年以上先になりそうですが、本作を含め、本作にまつわる映画を見直すのにちょうどいい期間になりそうです。
ベイビーとデボラの恋愛の行方はどうなるのか、次はどんな楽曲を使うのか、期待が高まります!
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