実際に起こった事件を基にして作られた、想像を絶する恐怖。
凛子
ひっきー
まさしく「凶悪」ご紹介します。
作品情報
あらすじ
人間はどこまで凶悪になれるのか。
スクープ雑誌「明潮24」の記者として働く藤井修一(山田孝之)は、東京拘置所に収監中の死刑囚 須藤純次(ピエール瀧)から届いた手紙を渡され、面会に行き話を聞いてくるよう上司から命じられる。
面会室で向かい合った須藤は、「私には、まだ誰にも話していない余罪が3件あります」と話しはじめる。その余罪とは、警察も知らず闇に埋もれた3つの殺人事件だった。
そして、これらすべての事件の首謀者は、“先生”と呼ばれる木村孝雄(リリー・フランキー)という不動産ブローカーであり、記事にしてもらうことで、今ものうのうと娑婆でのさばっている“先生”を追いつめたいのだと告白される。
(出典:https://web.archive.org/web/)
キャスト・監督
山田孝之(藤井修一)
1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。
1999年に俳優デビューし、その後、数々の映画やドラマに出演する。
主な出演作に『十三人の刺客』(10)、『闇金ウシジマくん』(12)、『のぼうの城』(12)、『その夜の侍』(12)、『俺はまだ本気出してないだけ』(13)などがある。
ピエール瀧(須藤純次)
1967年4月8日生まれ。静岡県出身。
1989年、石野卓球らと電気グルーヴを結成。
ミュージシャンとして活躍する一方、俳優としても幅広い役柄を演じ分け、数々の映画に出演している。主な出演作品に『ローレライ』(05)、『百万円と苦虫女』(08)、『少年メリケンサック』(09)、『モテキ』(11)、『僕達急行‐A列車で行こう‐』(12)、『ALWAYS三丁目の夕日‘64』(12)などがある。
リリー・フランキー(木村孝雄)
1963年11月4日生まれ。福岡県出身。
イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲などさまざまな分野で活躍。
俳優としても、主演を務めた『ぐるりのこと。』(08)で第51回ブルーリボン賞・新人賞を受賞するなど高い評価を得ている。そのほかの主な出演作品に『色即ぜねれいしょん』(09)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(10)、『モテキ』(11)、『アフロ田中』(12)、『きいろいゾウ』(13)『そして父になる』(13)がある。
白石和彌(監督・脚本)
1974年12月17日生まれ。北海道出身。
若松孝ニ監督『明日なき街角』(97)、『完全なる飼育 赤い殺意』(04)、『17歳の風景 少年は何を見たのか』(05)などの作品へ助監督として参加する一方、行定勲、犬童一心監督などの作品にも参加。
監督・脚本を務めた初の長編作品『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10)をへて、本作の監督を手がける。
(出典:https://web.archive.org/web/)
ネタバレ感想
これはショッキングな映画でした。
映画館で観た迫力と衝撃は今でも覚えています。
淡々と行われる殺人。
ありそう~ではなく、あったことなのです。
原作は新潮45編集部編による「凶悪 -ある死刑囚の告発-」。
これは全て事実であり、本当に記者が追いかけた事件。
映画化した中で、唯一脚色したところは、記者である藤井の家庭でも問題が起こって来るところ。
仕事に没頭するあまり、家庭をかえりみず妻が半狂乱になる。
この辺りは映画の盛り上がりとして作っているようです。
自分自身も、そこまでは狂ってなかったけど、もしかしたら正常じゃない側面があったかもしれないとモデルになった記者の方は話しています。
事件の名は「上申書殺人事件」と言い、死刑囚が新たな罪を告発するなんて前代未聞のこと。
信じていた「先生」に裏切られた死刑囚は、自分だけがのうのうと生活していることが許せず記者を呼び、事件にしてくれと頼みます。
確証もないまま、しかし何か大きなものがあると思い事件の真相を追っていきます。
すると、見えて来るのです。
映画化なので、今までやって来たことを映像としてみせる。
しかも、かなり忠実に作られています。
ネクタイで絞殺、生き埋め、酒を大量に飲ませて殺害。
この最後の犠牲者は、もともと糖尿病と肝硬変を患っていたことから、この殺害方法になったのです。
全ては先生と呼ばれる、不動産ブローカーの男が仕組み大金を手に入れるため。
さ、やろうか。と、簡単に殺害したり、やっちゃったんだけどなんとかならない~?なんて、冷酷以外の何物でもない。
ぶっこんじゃおうか、のセリフが怖すぎる。
「善悪はどうでもいい」と言ってしまう先生。
善悪の区別がつかなくなった人間は、一体どうなるのか?
そしてそれを追っている内に出て来る記者自身の変化も興味深く、記者の妻から衝撃な言葉が。
「あなた、こんな狂った事件追っかけて、楽しかったんでしょ?」
これは、記者だけに言った言葉ではなく、観ている全員に伝えているのだと感じました。
「怖いね~」なんて言いつつ、どうなるのか興味津々でテレビやニュースを見る。
誰?どんな人?どんな内容?
それって、楽しんでるんじゃないのか?
実は、こっち側の人間なんだろ?と言われているようです。
いつそうなってもおかしくない側面を、誰もが持っていると言っているんだと思います。
ココが見どころ!
見どころは、この残忍さです。
同じ人間として、ここまで冷酷非道なことを出来るのか?
見ていると普段は特に変わりなく普通の人間に見えるので、怖い。
これは決して本や映画の世界だけでの話ではなく、本当に存在するのです。
知らないだけで、近くにいるかもしれない。
そして、それは他人とは限らない。
最後の酒で殺害、というのは家族も絡んでおり、家族の同意のもとの殺害です。
家族はお金のため、父を犠牲にし、その保険金を分けましたが、ほとんどは先生の元へ。
この家族も後に逮捕されています。
前代未聞の事件という点も興味深いところですが、人間の怖さを知る点でも興味が湧きます。
何故そんなことが出来るのか?
でも、いくら考えてもきっと答えは出ないはず。
それは同じ感覚や思考ではないからで、人間として異常がないということだと思います。
まとめ
なかなか考えさせられる部分も多い作品です。
この年の中の邦画では断トツ、映画全体でも評価が高く、実際周りの映画仲間の間でもかなり話題になりました。
ただの映画ではなく、事実として観てみてください。
最終的には先生は逮捕され、無期懲役。
映画の中でも、最後は逮捕され終わりますが、ラストショットには記者の顔、これは事件に捕らわれたのは記者と観客であると示している。
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