実話の映画サウルの息子|ネタバレ感想と解説!ラスト結末は・・・

凛子

今回はアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した、ハンガリー映画「サウルの息子」をご紹介します。
アウシュビッツ収容所の出来事を描いた映画ですね。

ひっきー

衝撃的な内容ですが、これは実際にあったことです。

ぜひ、「サウルの息子」を見て戦争の現実を知ってもらいたいです。

作品情報

あらすじ

1944年10月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。

サウルは、ハンガリー系のユダヤ人で、ゾンダーコマンドとして働いている。

ゾンダーコマンドとは、ナチスが選抜した、同胞であるユダヤ人の死体処理に従事する特殊部隊のことである。
彼らはそこで生き延びるためには、人間としての感情を押し殺すしか術が無い。

ある日、サウルは、ガス室で生き残った息子とおぼしき少年を発見する。

少年はサウルの目の前ですぐさま殺されてしまうのだが、サウルはなんとかラビ(ユダヤ教の聖職者)を捜し出し、ユダヤ教の教義にのっとって手厚く埋葬してやろうと、収容所内を奔走する。

そんな中、ゾンダーコマンド達の間には収容所脱走計画が秘密裏に進んでいた・・・。

(出典:http://www.finefilms.co.jp/saul/)

監督・キャスト

ルーリグ・ゲーザ(サウル)

967年ブタペスト生まれ。

1987年、ポーランドのクラクフに移り住み、ヤギェウォ大学でポーランド文学を学ぶ。

1989年にはハンガリー演劇映画大学にて映像制作を学び始め、2つのハンガリー映画で主演をつとめる。

90年代はじめにイスラエル、エルサレムに暮らした後、ブルックリンの厳格で敬虔なユダヤ教のタルムード学院で2年間学び、ほどなくして最初の詩集を出版した。

2000年からニューヨーク在住し、ニューヨーク・ユダヤ教神学院を卒業と同時に教鞭をとる。

これまでに7冊の詩集と1冊の短編集を出版。目下初の長編小説に取り込んでいる。


ネメシュ・ラースロー(監督)

1977年ハンガリー、ブダペスト生まれ。

子供時代と青年時代をフランスの首都パリで過ごした。

2つの国、2つの文化の間で育ったラースロ―は、まずパリで教育を受け2003年に26歳の時にブダペストに戻ると、『倫敦から来た男』でタル・ベーラの助監督になった。

その後彼は、忠実で結束の固い少人数のチームで、この映画『サウルの息子』の実現に5年の歳月をかけた。

(出典:http://www.finefilms.co.jp/saul/)

ネタバレ感想

恥ずかしながら、「サウルの息子」を見るまで、ゾンダーコマンドというものを知りませんでした。

ゾンダーコマンドとはアウシュヴィッツ収容所の中でユダヤ人の死体を処理する人ですが、彼らもまたユダヤ人だったり、ユダヤの血が流れている人です。

ナチスはアウシュヴィッツ収容所での事を、すべて非公式に行っていました。そしてユダヤ人の処刑が終われば、すべて無かったことにする予定だったのです。
そのため、ユダヤ人を殺すのもユダヤ人に行わせていたのでした。

そのゾンダーコマンドの1人であるサウルは、ある日死体の中から少年を見つけます。その少年は息子だったのです。

死んだ息子を埋葬したいと考え、収容所の中でラビを探し始めたのです。

サウルは息子を埋葬するために危険を顧みずに、ラビを探し続けます。

ゾンダーコマンドの中にラビがいないと分かると、収容されてきたユダヤ人の中からラビを探します。

なぜここまでサウルは息子の埋葬にこだわるのでしょうか?

それは彼は敬虔なユダヤ教でした。
ユダヤ教の教えは正しい事をすれば死んだ後に復活します。しかしそのためには遺体を埋葬しなければいけなかったのです。

アウシュヴィッツでは死体は火葬され、灰にされます。さらにその灰は海に捨てられていました。

息子を復活させるためにも、サウルは遺体を埋葬したかったのです。

サウルが息子の遺体を埋葬しようと奮闘している時、ゾンダーコマンドの中でナチスに対して反乱を起こそうと考えている人達がいました。

ゾンダーコマンドも数ヶ月ごとに殺されています。

彼らは、自分達が生きた証拠、アウシュヴィッツで行われていた事などを記録に残すために、写真をとったりしていました。

そしてナチスを襲撃するために、焼却炉を爆発させたのでした。

これは実際にあった出来事です。

ゾンダーコマンド達が必死に撮った写真や地中に埋めた手紙が見つかり、1冊の本にされました。

監督はその本を元にこの作品を作ったのです。

焼却炉の爆発で混乱している間に、サウルは息子の遺体を持って逃げ出します。しかし遺体は途中で川に流してしまいます。

他のゾンダーコマンドとともにサウルは逃げ、小屋で一休みします。

しかし、その小屋は追いかけてきたナチスの兵士に見つかり、みんな銃殺されたのでした。

ココが見どころ

この作品のカメラワークはとても独特なカメラワークになっています。

主人公サウルの肩より少し、後ろから撮影されて、至近距離しかピントがあっておらず、画面の奥の方はピンボケしています。

さらに画面サイズも昔のテレビのように狭いです。

ピンボケと画面の狭さにより、観客は画面の奥で何が起きているのがよく分かりません。

でもそれが恐怖につながります。

死体らしきものがあるのは分かるけど、実際そこで何をやっているのか分からない。その恐怖がアウシュヴィッツ収容所で起きた事柄を余計リアルにします。

監督はこのカメラワークにした理由を2つ述べています。

①ゾンダーコマンドの行動や気持ちを体験して欲しかった

 

②死体処理を毎日されれているゾンダーコマンド達は、この映画のピンボケのように事実に焦点を合わせたく無かったはずだ

監督が考えた撮影方法により、かなりリアルな作品となっています。

このアウシュヴィッツで起こった事は、絶対に忘れてはいけない事だと再認識させられます。

まとめ

学校の授業では習わなかった、歴史の出来事をこの映画で知る事ができます。

アウシュヴィッツでユダヤ人が殺された事は知っていても、そこで何が起きていたのか。

「サウルの息子」ではそこで起きていた事を知ることができます。

それは絶対に忘れてはいけないことだし、多くの人に語り伝えていかなければいけないことです。

「サウルの息子」は、今後も残さなくてはいけない歴史が描かれた、大切な作品の1つです。

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