今回ご紹介する映画は2013年に公開された映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」です。
ひっきー
凛子
それでは、本作について詳しくご紹介します!
作品情報
あらすじ
インドのボンディシェリで動物園を経営していたパテル一家は、カナダ・モントリオールに移り住むことになる。
16歳の少年パイ(スラージ・シャルマ)と両親、そして多くの動物たちは貨物船に乗り込むが、太平洋上を航行中、嵐に見舞われて船は沈没してしまう。
ただ一人パイは救命ボートに逃れて一命を取り留めるものの、そのボートにはリチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラが身を潜めていた。
わずかな非常食で飢えをしのぎ、家族を亡くした悲しみと孤独にも耐えるパイ。
そんなパイと一頭のトラとの227日間にも及ぶ太平洋上の漂流生活が始まった……。
(出典:http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/introduction.html)
キャスト・監督
監督・製作:アン・リー
パイ・パテル:スラージ・シャルマ
パイ・パテル(成人):イルファン・カーン
ジータ・パテル:タブー
カナダ人ライター:レイフ・スポール
コック:ジェラール・ドパルデュー
(出典:http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/introduction.html)
ネタバレ感想
ただのサバイバル冒険映画と思っていたら、面を喰らう映画でした。
圧倒的な映像美とファンタジー要素を盛り込んだ物語の中に、哲学的で宗教的なメッセージが込められた作品でした。
ストーリーは、インドで動物園を営んでいた家族が貨物船に乗ってカナダへの移住を目指していたところ、船が沈没し、16歳の少年パイと動物園で飼っていたオランウータン、ハイエナ、シマウマ、トラのリチャード・パーカーだけが生き残り、ライフボートで漂流生活をするお話。
ファンタジー要素を織り込んだ冒険映画だと思っていたら、ラストにどんでん返しが待っていました。
動物たちとの漂流生活の話が信じられない保険調査員たちに、パイは別の話をし始めます。
助かったのは、コックと、船員、パイの母親、自分。
船員は足を切断されて死亡。
コックは船員の足を魚の餌にしたり、足を食べたりしました。
母親はコックに殺されます。
そして、コックはパイに殺されて食べられます。
つまり、船員がハイエナ、母親がオランウータン、コックがハイエナ、パイがトラだったのです。
この展開には驚きました。
しかし、こっちの話の方がファンタジーめいた話より合点がいきます。
シマウマやオランウータン、ハイエナの死体がライフボートから消えたのは、そういうことだったのかと納得しました。
そもそもトラと227日間漂流することは現実的ではありませんよね。
それにしても、パイがトラ自身だったとは!
ではなぜパイはメキシコにたどり着いた後、リチャード・パーカーと別れたのでしょうか。
トラは、野性的で暴力的で肉食。
パイという人間の、人を殺して食べた野生的で暴力的で肉食な一面を表したのが、リチャード・パーカーでした。
パイは漂流中に、「リチャード・パーカーがいてくれてよかった」と言っています。
彼の中の暴力的な一面がなければ、菜食主義者のパイは生き残れなかったからです。
漂流が終わりトラとしての一面が必要なくなったから、決別したのではないかと思います。
トラとの別れの際に、振り向かなかったリチャード・パーカーを見て、パイは泣き崩れます。
暴力的な自我との別れを惜しみ悲しむことは、それも自分の一部として認めていることではないかと思います。
彼の名前は、パイです。
パイは数学で割り切れない数字。
数学のパイのように、人間はたった1つの性格で割り切れる生物ではありません。
優しさや暴力性やいろんな一面をもった多面的な生物です。
パイと言う名前に、そういった人間の本質を表しているのではないかと思いました。
そして、パイはヒンドゥー教やイスラム教、キリスト教といった色んな宗教を信じていまいた。
1つの宗教を信仰して1つの考えに偏るのではなく、色んな考えや感情、思想を持ってこそ人間であると説いているのではないかと思いました。
ココが見どころ
漂流生活の映像の美しさが素晴らしかったです。
第85回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したのも納得の美しさでした。
特に好きだったシーンは夜の海。
大量のクラゲが光を放ち、海面下は蛍光色に染まります。
パイは、大量のクラゲを物ともせず、海の中に手を入れます。
現実だったら絶対刺される!とツッコミを入れたくなるシーンです。
私はこの辺りからもしかしてパイの作り話?と疑問を抱くようになりました。
そして、海から飛び出してくるシロナガスクジラ。
CGとはいえ、あまりの迫力に圧倒されました。
まとめ
本作を観終わった後も、劇中の幻想的な景色が脳裏に残っています。
映像美もさることながら、ストーリーや音楽、主人公のパイを演じたスラージ・シャルマの演技も素晴らしい作品でした。
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