凛子
ひっきー
超絶!閲覧注意の作品「マザー!」本編を先に観るか?内容を知って自分の心に土台を作ってから観るか?
衝撃に耐えらる自信のない方は、知ってからにしてください。
トラウマ必至のラスト23分。
作品情報
あらすじ
郊外で穏やかな暮らしを送っていた夫婦の家に、謎の男が訪ねてきた。妻はその男に不信感を抱いていたが、夫は快く迎え入れた。
その日から、夫婦の家には代わる代わる訪問者がやってくるようになった。
「このままでは何か良からぬことが起こる」という妻の訴えを真剣に取り上げようとしない夫だったが、彼女の不安はやがて現実のものとなった。
(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)
キャスト・監督
ジェニファー・ローレンス(母)
17歳の時に『あの日、欲望の大地で』に出演し、監督のギジェルモ・アリアガには「メリル・ストリープの再来かと思った」と評され、さらに第65回ヴェネツィア国際映画祭では新人俳優賞を受賞した。
2010年に主演した映画『ウィンターズ・ボーン』での演技が評価され、アカデミー主演女優賞をはじめとする多くの映画賞にノミネート、または受賞するなどした。
この作品で一躍若手注目株となった。
ハビエル・バルデム(彼)
1990年に『ルルの時代』で映画デビュー。
1992年公開の同監督の『ハモンハモン』で知られるようになる。
2012年には記念すべき50周年を飾り、シリーズ最高の興行収入を記録した007シリーズ第23作『007 スカイフォール』で悪役シルヴァを熱演。
『ノーカントリー』での殺し屋を彷彿とさせる演技で、同年度英国アカデミー賞でも助演男優賞にノミネートされた。
ダーレン・アロノフスキー(監督・脚本・製作)
2000年には、普通の人々が麻薬の罠にはまってゆく『レクイエム・フォー・ドリーム』を制作。
2008年公開の『レスラー』(主演:ミッキー・ローク)が第65回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。
2010年公開の『ブラック・スワン』(主演:ナタリー・ポートマン)でアカデミー監督賞にノミネートされた。
(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/)
ネタバレ感想
まず、この作品は観るにあたり本当に覚悟が必要です。
ホラーやスプラッター映画は数え切れないほど鑑賞し、閲覧注意!と呼ばれるものは大抵問題なし。
それでもこの作品は、全く違うところから来る衝撃であり、直視出来ないと思います。
この作品は日本未公開。
よくある未公開映画ではなく、予告も作られ公開日も決まっていたのに取りやめになったのです。
その理由はあまりの過激な内容であり、北米公開初の週末で集計を取りその結果まれにみる「F」。
これは過去にたった11作品しかなく、ただ最低だ!というよりは怒りを表していると言われています。
そして何故こんな作品を作ったのか?何を言わんとしているのか?を知らなければ、確実にトラウマになる。
本当の意味を知ると、更に別方向から殴られたような衝撃がまた来ますがそれは受け入れるべきものです。
詩が浮かばず悩む夫と平和に暮らしたい妻。
そこへ一人の男が訪れ、招き入れたことにより全てが崩壊する。
どんどん人が来る、というのは予想もつき観た事ある展開だなんて思うかもしれません。
ファニーゲームのような感じかなぁ?観なければ良かったと言われる代表作であり、好き嫌い完全に分かれますがそんな感じかなぁ。
男には妻がいて子供が2人いる、そして一人ずつ訪れ家に入ってくる。
乗っ取られるパターンのやつ?なんて思う。
そんな観た事あるようなものを遥かに超える。
人々はとめどなく押し寄せる、これでもかと家中を破壊、盗み、もう観ているこっちが限界になる程、徹底的にみせられます。
やめて!と妻のように思うところのはずが、夫である彼は全てを受け入れる。
いやいやいや、えーー?!?!どういうこと?!
すでにそんな状態なのに、ようやく出来た赤ちゃんが産まれそう。
もしかして・・・これ、どうなるの・・・不安しかない。
群衆からは逃れたものの、全てを受け入れる夫を信じられず、でも産まれてしまう。
夫は正面に座り、ただ見つめる。
妻は疲労の限界で赤子を腕に抱いたまま目を閉じる・・・これ、取られるよね?と不安と予感。
目を覚ましたその手には赤ちゃんはおらず、部屋から出ると夫が群衆に向け天高く持ち上げている。
そのまま群衆に手渡します。ここから地獄絵図。
赤ちゃんは手から手へ掘り投げられ、首を折り即死、更にそれを食べる群衆。
妻は激怒しガラスで反撃しはじめるが、群衆から目を疑う程の暴力を受ける。
最後はもう全てを自分で破壊する、と妻が火をつけ全焼。
奇跡的に生き残った夫、瀕死の妻。
その夫、何故か無傷であり、あなたは一体?その答えは「神」。
え?え?何々??と意味をしらなければなります。
「君の愛が欲しいんだ」「いいわよ、私の心臓を取って」
えーー?!となっている間もなく思いっきり手を入れて心臓を取り出し、全ては元に戻るのです。
そして、また始まる。
これは一体何の映画なのか?
全てを理解すると、まさしくタイトル通りの内容なのです。
「mother!」母なる大地。
妊娠をしたから?赤ちゃんを産んだからマザー?え?・・・?
そういうことではないのです。
エンドクレジットを観ると、彼らには「名前が無い」。
よく観直してみると確かに名前を呼ぶシーンは一切ない。
出て来る全員がなんらかの「メタファー」なのです。
母親は地球、彼はそれを創造した神。
これを理解した瞬間にゾッとし、恐怖と衝撃が襲いました。
今まで観ていた、人の家にずかずかと入り込みあらし邦題あらしまくり、長い時間をかけて新たに誕生したものまでも、人から人へ簡単に手渡され乱暴に扱われすぐに死んでしまう。
もうやめてくれ!!と思っていた、その人々こそ私たち人類だったのです。
「与えても与えても足りない」この意味は深い。
この意味を知ると、もう2度と観たくないと思ったはずなのにまた観返したくなる。
観ないといけない気がしてくる。
しかし、これはキリストを侮辱しているとアメリカでは大きな批判を受けたのです。
母親は地球であり大地、彼は創造主であるヤハウェ。
赤ちゃんはキリストであり、訪ねてきた男はアダム、妻がイヴ。
息子たちは兄がカインで弟がアベル。
群衆は神を信仰する人々。
家は何故かポツンとあり、これがこの世の全て。
これらは創世記で語られる人物。
反キリストだと批判され、評価が著しく低かったのですがこれは「人類の愚かさ」を描いたもの。
怖いぐらい良く出来ていると思います。
見るに堪えない展開が永遠と続き、最後には過激な集団からの暴力、赤子惨殺。
これだけ見たら公開なんて出来るわけないという感じですよね?
更にはカニバリズムの描写まであり、卒倒しそうになります。
キリストを食べる・・・そう思うと耐えられないのも理解できるような。
監督は「何の予備知識もなく観て欲しい」と言い、主役のジェニファー・ローレンスは「自前にテーマが分っていれば、少しは平常心で観られるはず」と言う。
どう捉えるかにもよりますが、筆者は監督の意見に賛成です。
何もなく観て、極度の嫌悪感を感じ、それがそのまま自分へ跳ね返って来る。
それを受け止めてこそ、自分達のしていること、しなければならないことが見えて来ると思います。
壁からまるで鼓動のような音が聞こえるシーンがあり、この世の全ては生きているということ。
まとめ
あなたはどう感じましたか?
どう受け取りましたか?
何も知らず情報なしで本編を観るべきか?
設定を知ってから観るべきなのか?
タイトルにも、ポスターにも、全てに意味がある。
混乱と衝撃で、こんなにもグロッキーなのに観返さないといけない気がする。
本当に近年断トツ1位の問題作。
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